あなたは複数の案件を抱えているだろうか。それともひとつのプロジェクト専任だろうか。
今も昔もマルチタスクがもてはやされている。
同時に複数のプロジェクトをこなす。
うまくバランスをとりながら、最終的に結果を出す。
イメージはヒーローそのものだ。
だが、マルチタスクは極めて効率の悪い働き方だ。
ジェラルドワインバーグ氏をご存じだろうか。
マルチタスクによる弊害を実際に調査してまとめている。
複数の作業を同時並行で進めると、作業間を行き来するロスが発生する。
一瞬思考が停止してしまうのだ。
今の作業を中断し、次の作業に移るまで、コンテキスト交換のロスが発生する。
前の作業の終了地点を思い出すためにかかる時間のロス。
他のタスク(プロジェクト)と間違えて作業してしまい、やり直すロス。
専任タスクに比べて多くの損失が発生する。
下のワインバーグ氏のチャートを見ていただきたい。
5つのプロジェクトを兼務すると、個々のプロジェクトでは5パーセントしか作業できていない。
他にもマルチタスクによる影響を挙げるときりがない。
作業中に声をかけられると、集中力は途切れるし、再開するにはまた時間がかかる。どこから再開すべきか考えなくてはならないからだ。
ハンズフリーフォーンでも電話しながらの運転中に事故率が高いことはデータが証明している。
途中で中断されると、人間は一瞬どちらもできていないものだ。電話が鳴ると、手元の作業はおろそかになる。それに、電話しながらだと作業の品質はあきらかに落ちる。
マルチタスクを避けるには、一度にすることをひとつに絞り集中すること。それだけでコンテキストスイッチングによるロスを回避できる。
そもそも人間は、複数のことを高精度で行うようにできていない。
一度に一つのことに専念した方が、集中できるし、正確だし、生産性も高い。
作業が遅れているときにリソースを追加するのではなく、今いるリソースの兼務をやめる。
それだけで、個人の生産性は20%~200%アップする。
これをチーム全体ですれば相当な戦力アップにつながる。
マルチタスクをやめるだけで、生産性も高まるし、作業品質もよくなる。
品質が安定すれば、プロジェクト終盤の不具合から来るやり直しも減らせるから、プロダクトのタイムツーマーケットも短縮できる。
作業が膨大にあるのに人が足りないと嘆く前に、作業の優先順位付けをして、一度に一つの作業に集中する文化をつくってみてはどうだろうか。