「継続的なインテグレーション」は、なにも開発だけの話ではない。
プロダクトオーナーも、顧客や利用者のフィードバックを継続的にバックログに統合していく。プロダクトバックログは常に動的だ。決して完成することはない。
プロダクトの顧客が存在する限り、そして顧客のフィードバックがある限り、常にアップデートを重ねていく。プロダクトバックログに、「顧客の生の声」をリアルタイムに取り込んでいく仕組みが必要だ。
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プロダクト制作は、プロダクトのビジョンとディレクション(方針)から始まる。
そして、プロダクトのビジョンとディレクションに沿った要求を、プロダクトバックログに装填していく。
プロダクト開発が始まるときは、ブレインストーミングだ、ストーリーマッピングだ、バリューストリームマッピングだ、とみんながニーズを洗い出すから、比較的容易にプロダクトの要求収集ができる。
利害関係者も、自分のニーズを含めて欲しいから、積極的に関与する。
だが、ディスカバリーフェーズから、構築フェーズに入り、プロダクトの要求分析からモノ作りにシフトしていくと、関係者の意識が徐々に「作り方」に移っていく。
チームが本格的に実装モードに入ると、完全に「作り方」にトラクションが移る。
やれリソースだ、契約だ、コストだ、プロセスだ、ガバナンスだ、といろんな制約の中で、どうやって作るかの話になる。
利害関係者も「あとはよろしく」と言わんばかりに、行方不明になる。。
チーム全体が作り方に傾倒していく行く間も、プロダクトオーナーは、顧客との会話を絶やしてはいけない。作る上での制約とバランスを取りながら、どの要求は譲れないか、そしてどの要求なら譲歩できるか、「顧客の視点」で整理していく。
ペーパープロトタイプでもいいから、早い段階で顧客に展開し、具体的なフィードバックを獲得する。β版でも、現物を見ると顧客フィードバックは一気に加速する。顧客はリアルな体験を通して、自分たちの要求に対する理解を深め、より鮮明なフィードバックを提供してくれる。
既に展開している機能があるなら、統計データから顧客の行動パターンを分析し、プロダクトバックログを事実ベースでアップデートしていく。顧客のビヘイビアは言動よりも、確度の高いインプットだ。
プロダクトバックログのアップデートが増えれば、プロダクトバックログはより正確になる。より効果的になる。ホットな顧客価値を反映できる。
プロダクトオーナーは、いかなる局面であっても顧客とのリンクを絶やしてはならない。
正しいプロダクトをつくるために、正しいバックログ・アイテムを、正しい順序で並べる。開発チームのアウトプットがプロダクト・ビジョンを推進し、顧客を含むあらゆる利害関係者のリターンを最大化する。
プロダクトオーナーは、周囲が「作り方」一色になっても、常に、顧客との会話を絶やさず、「何を作るか」を思考し続ける人物である。
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