入場の定義。
プロダクトバックログにエントリーできる・できないの定義のことである。
プロダクトバックログは顧客の要求一覧だ。
利害関係者も要求をエントリーできるから、プロダクトバックログはどんどん肥大化する。
プロダクトオーナーは、プロダクトバックログのオーナーとして優先順位付けするが、一覧が大きくなるとやっかいだ。優先順位を付けるには、一通り見ないといけない。ロングリストを上から下まで舐めるのは骨が折れる。
プロダクトバックログはコンパクトに保とう。
例え、書かれたバックログ全量を実装しない前提であったとしても。
小さければ小さいほどメンテナンスもカンタンだ。
一般に、プロダクトオーナーが整備できるバックログ数は100と言われる。プロダクトオーナーだって人間なのだ。
だから、ユーザーの要求を発散させてどんどんプロダクトバックログを肥大化するのではなく、入り口でフィルターを設けよう。
利害関係者のニーズの発散から収束のプロセスはユーザーストーリーマッピングセッションで済ませておこう。プロダクトバックログの下半分がゴミの山化するのを防げる。
たとえば、今から食事に出かけるとしよう。何を食べるか3つの選択肢があるとする。
① 鮨
② 天ぷら
③ 蕎麦
3つなら決めるのもカンタンだ。
もし100個のメニューリストを渡されたらどうだろう。
① 鮨
② 天ぷら
③ 蕎麦
④ しゃぶしゃぶ
⑤ 焼き肉
⑥ お好み焼き
⑦ すき焼き
⑧ 鉄板焼き
⑨ 焼きそば
⑩ ラーメン
⑪ パスタ
⑫ ラザニア
⑬ オニオンスープ
⑭ 飲茶
⑮ ホットケーキ
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100個でも相当な数だ。
選択肢が増えると、選ぶのに時間がかかる。自分だけでなく全員で食べたいものにたどり着くにはもっと時間がかかる。
選択肢が多いと、要求が分散してしまう。
入り口でプロダクトビジョンとプライマリー・ペルソナにフィットするユーザーストーリーのみエントリーする。「あれば尚よい」ストーリーはは入り口で廃除する。
生産ベルトコンベアに乗せるのはプロダクトに必要な要求だけだ。
石ころは前もって取り除いておこう。
何が必要で、何が不要なのか、プロダクトバックログの入り口で、入場基準を設けよう。
入場基準から外れた物は、圏外リストとしてアーカイブしておく(写真で残しておけばいい)。
入場基準を設けることで、利害関係者も意識して要求を挙げるようになる。一石二鳥だ。
「入場の定義」でプロダクトビジョンに整合したユーザーストーリーをエントリーする。
「準備の定義」で開発チームが実装戦略を練られるレベルまでユーザーストーを具体化する。
「完了の定義」で開発チームはプロダクトインクリメントを完成する。
何事も、前さばきが重要である。
入場の定義は、プロダクトオーナーの肝となる第一手である。
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