ルールとガイドラインは異なる。
ルールは守らなくてはならない「基準」だ。
ガイドラインは一般的にこうした方がいいという「標準」だ。
「基準値を超えている。」は、危険である。
一方、「標準値を超えている。」なら、普通じゃないから気になるが、即、危険かどうかはわからない。
例えば、サッカーのセンタリングで、飛んできたボールをキャッチしてゴールにダイブしたら一発退場である。当たり前だが、キーパー以外、サッカーボールの手掴み禁止だ。
ゲームのルールだから守らないといけない。
ガイドラインなら、「浮き球は、ヘディングまたはオーバーヘッドキックでゴールに流し込もう。」だろう。これは一般的な標準であって、相手との駆引きで、マークを外してボレーで決めるとか方法はいろいろある。状況に応じて判断すればいい。
ガイドラインはルールではないから、メンバーが自分で考えて表現できる自由がある。人間の創意工夫を活かせる仕組みだ。
だから、仕事でもルールは少ない方がいい。
ルールが多いとルールに従うことばかりに意識が向いてしまい、仕事の本当の目的を忘れてしまう。
ルールは人間のエネルギーと創造性を奪う。人間をロボット化してしまう。
社員の自主性を促すにはガイドラインに留めておき、ルールは最小限にしよう。
とは言え、組織なのだからルールなしとはいかないだろう。
ルールを設ける際の注意点は、ルールを具体化することだ。定量化できると更にいい。基準値という言葉の通り、数字にするのだ。
- 制限速度時速100キロ
- 100度のお湯で3分
- 3秒間押し続ける
しっかりチェックするとか、長めに押すとかはルールとして不十分だ。客観的に判断できる方法でルール化しないと意味がない。
スクラムでたびたび遭遇するのが最後のスプリントだけ長くするケースである。
スコープ達成圧力に屈して、アジャイルなのにタイムボックスを軽視した行動にでる。
経験主義のスクラムではタイムボックスは絶対ルールだ。
2週間と決めたら絶対に2週間で終了する。例え、バックログが全く完了していなくてもだ。
スプリントレビューで恥ずかしい思いをして、ふりかえりで自分たちの至らなさを痛感するから成長がある。学びを得てチームがよくなるのだ。
1週間延長して完成品をデモしてしまっては、痛みも学びも顕在化しない。だから、チームは成長の糧が得られない。学ぶ機会を逸してしまったのである。
自立した組織にするにはルールよりガイドラインである。
もし、ルール化するなら具体的に数値化して基準値を設ける。
できるだけガイドラインに留め、社員の自主性を促し、創造性を発揮してもらう。
どうしても守るべき事は、ルール化し、客観的に明示する。そして徹底する。
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