「いいプロダクトとは?」と聞かれて、なんと答えるだろう。
あなたが毎日使っているものかもしれないし、記念日とか特別な日に使うものかもしれない。いずれにせよ、あなたにとって愛着のあるものだろう。
そんな製品はどうやって作られたのだろうか?
きっと、作り手が汗をかいて、試行錯誤しながら、考え抜いてできたプロダクトだろう。時に、絶妙な販売タイミングとかラッキーな偶然もあったかもしれないが、一生懸命作り上げたプロダクトに違いない。
いいプロダクトは作り手の「こだわり」から生まれる。作り手の「誇り」と「こだわり」がプロダクトに魂を入れるのだ。
作り手が自分事としてつくると特別なプロダクトになる。他人に言われて作るのではない。
だから、プロダクト開発においても、作り手が他人事ではなく、自分事としてつくることが重要だ。自分事として作るとは、仕様通りにつくることではない。利用者と対等な立場で、運用保守も踏まえて、仕様や作り方について提案することだ。プロダクトに自分の考えもフィードバックすることだ。
自分事として作るとは、当事者として、自らどう作っていくのかを決めて実装していくことに他ならない。
チーム全員が高い意識と観察力で正しい作り方を判断できればいいが、そんなメンバーばかりではない。
そこで、チームが気づきやすくてわかりやすい仕掛けが必要になる。その仕組み作りはスクラムマスターの役目だ。
スクラムマスターの重要な役割として、「気づき」を与えることがある。ただし、こうしろああしろと言うのではない。「こうなったらどうする?」、「ああなったらどうする?」と、what if 方式で質問を繰り返す。質問しながら相手に考えてもらうのだ。そして、キーワードを自分から言ってもらう。
だから「オープンクエスチョン方式」でいく。
そして質問の答えは、見えるようにする。
質問して開発チームが考え始めると、その解につながる気づきを情報ラジエーターで見える化しておく。
状況に即した判断には、状況の正しい理解が不可欠だ。だから、必要な情報をわかりやすく見える化する。
スクラムマスターはチーム内の人間関係、働き方、プロセス全体を俯瞰し、全体最適を促す役割だ。
そして、リスク感度が高く、1番にリスクを察知できる人である。
リスクを察知したら、注意喚起する。
具体的には、チームが自ら気づけるよう、質問を投げかける。そして、ソリューションに結び付く情報を見える化する。
スクラムマスターは情報の透明性を高め、開発チームを支援する。
どんな断面で情報を見せれば、正しい判断が促されるのか、なにをどう見える化するか考えよう。
正しい情報があっても、文字ばかりだと理解が進みづらい。
絵やグラフ、色、数字を使って、豊かに表現しよう。
色と組み合わせることで、バリエーションを増やせる。
プロダクト開発において、現場の見える化が最初の打ち手だ。
優れたプロダクトは、作り手の「こだわり」から生まれる。
作り手のこだわりは、当事者としてプロダクトをエンジニアリングできる環境において強化される(自分事)。
正しく作るために、正しい判断が必要だ。
そして、正しい判断には、状況を正しく理解することが欠かせない。
状況を正しく理解するために、「気づかせる」質問と、ソリューションの呼び水となる「情報の見える化」が欠かせない。
スクラムマスターは、リスクを発掘し、深掘りし、先回りしてチームを支援する。