Prince2 Agileの基本の基本についてまとめておこう。
- プロジェクトで使用
- プロジェクトのコンテキストでアジャイルを使用
- プロジェクトの全階層を強化
- プロジェクトマネージャーは必須
- アジャイル・プロジェクトではない
- 方法の一つであり、唯一の方法ではない
- プロジェクトの6角形(ヘキサゴン)
- 時間とコストは固定
では、順番に見ていこう。
- プロジェクトで使用
プリンスはプロジェクトマネジメント・フレームワークである。
アジャイル版プリンスも、プロジェクトにだけ採用される。
開始日、終了日のある、一時的な組織で運営されるプロジェクトに使われ、通常業務には使われない。
- プロジェクトのコンテキストでアジャイルを使用
アジャイルは、プロダクト開発で広く使われる。
カンバンやスクラムは、通常業務でも汎用的に使われる。
アジャイル版プリンスでは、プロジェクトのコンテキストで、開発手法にスクラムやカンバンを取り入れる。あくまでプロジェクトの実行がメインで、プロジェクトの成果物を届けるアプローチにアジャイルを採用する。
- プロジェクトの全階層を強化
プリンスプロジェクトには3階層ある。
- プロジェクトの指揮
- プロジェクトの管理
- プロジェクト成果物の提供
従来のプリンスが得意としているのは、プロジェクトの指揮と管理である。
アジャイル版プリンスでは、「プロジェクト成果物の提供」レベルで、具体的なアジャイル手法を説明している。
結果、プロジェクトの全階層について豊富なガイダンスを示し、プリンス・フレームワークの補強に成功した。
- プロジェクトマネージャーは必須
プリンスはプロジェクトだから、プロジェクトマネージャーは必須である。
一部のアジャイルコミュニティーでは、PMの役割はない。フレームワークによっては、PMをチームに近づけないよう説く。
既存の体制で対処できないから、プロジェクト化される訳である。
不透明な状況では、上級マネジメントの要求を交通整理し、複雑なスコープをリアリティーのある具体的な作業単位に落とし込めるリーダーが不可欠である。
プリンスでは、PMが存在することで、プロジェクトが安定化し、チームが一枚岩となり、落ち着いて作業できると説く。
- アジャイル・プロジェクトではない
成果物提供の手法としてアジャイルを使っているから、アジャイルプロジェクト。
使っていないから、従来型プロジェクト、と言うことではない。
プリンスではアジャイルをどれだけ使うか(How much)が重要なのであって、単純に「アジャイルプロジェクト」、または「ノンアジャイルプロジェクト」とは呼ばない。
アジャイル版プリンスでは、プロジェクト環境に最適な量のアジャイルを使う事が重要であり、アジャイルを使わないと悪いとか、盲目的にアジャイルがいいとは説いていない。
- 方法の一つであり、唯一の方法ではない
アジャイルには数多くのフレームワークが存在する。
スクラム、カンバン、リーンやXPも、アジャイルの一部にしか過ぎない。
アジャイル版プリンスのマニュアルにも、様々なフレームワークやコンセプトが紹介されている。
- リーンスタートアップ
- アジロメーター
- ケネヴィン
アジャイル版プリンスで紹介しているのは、進め方の一つである。唯一の方法ではない。
プロジェクトの置かれた状況に応じて、最適なフレームワークを選択すればよい。
- プロジェクトの6角形(ヘキサゴン)
通常、プロジェクトでは鉄の3角形(アイアン・トライアングル)が有名だが、プリンスでは6角形(ヘキサゴン)だ。
- 時間
- コスト
- リスク
- スコープ
- 品質
- ベネフィット
アジャイル版プリンスでも、この6つの側面からプロジェクトを評価する。
- 時間とコストは固定
そして、プロジェクトヘキサゴンの内、アジャイル版プリンスでは、「時間」と「コスト」は固定である。
ヘキサゴンそれぞれに許容度(トラレンス)を設けるが、時間とコストに許容度はない。
アジャイルはタイムボックスだ。だから、時間の許容度はゼロである。
期間も、イテレーション(スプリント)、リリース(ステージ)、プロジェクトの各レベルにおいて、タイムボックスが徹底される。延長すると例外対象となる。
コストは、チームの稼働コストを意味する。プロジェクト期間中、安定したチームを前提としているから、コストも固定である。
ちなみに、時間とコスト以外の4つのパラメーターについては、柔軟に調整できる。
プロジェクトヘキサゴンにおける、6つのトラレンス(許容度)について、以下のリンクで詳しく説明している。併せて参考にしていただきたい。
Prince2 Agile プロジェクト六角形でアジャイル・トラレンスがわかる
以上が、アジャイル版プリンスの概要中の概要である。
重要なコンセプトについては、別途テーマ化し、説明していきたい。
待ちきれない人、すぐに詳しく知りたい人は、公式マニュアルをどうぞ。
英国プロジェクトマネジメントPrince2 Agile公式マニュアル
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