アジャイルマインドセットはリリース駆動プランニングでつくる

アジャイルマインドセットは、リリース駆動プランニングでつくる。

「なかなか、従来のスコープ中心のマインドが抜けないんですよ」
「どうしてもスコープに引っ張られて、延期しちゃうんですよ」

本音か言い訳かはともかく、このようなコメントをよく耳にする。

従来型の滝モデル(ウォーターフォール)では、スコープ中心に計画する。スコープを基準に、かかる期間と予算を逆算して取りかかるアプローチである。

計画がスコープ基準だから、実行もスコープ基準になるのは当たり前だ。

実行中に、進捗が芳しくなければ、スコープは決まっているから、納期と予算の調整に入る。リリースの延期と、追加予算の申請である。

この従来型のマインドを絶つには、時間を基準にプランニングしないといけない。すなわち、リリースを決めてしまうのだ。そして、スコープを最適化する(削る)。

 

我々は、なんでもつくり過ぎなのである。

ジム・ジョンソン氏の下の図をご覧いただきたい。

ソース画像を表示

頻繁に使う機能は全体の2割である。
時々使う機能を含めても36%である。

つまり残りの64%の機能は。。。

モノ作りで、一番のムダはなにか?

使わない機能、間違ったプロダクトを、完璧につくってしまうことである。

テストも行い、不具合を解消し、バグフリーの誰も使わないプロダクトをリリースする。これ以上のムダはないだろう。

 

「アジャイル宣言の背後にある原則」でも次のように謳っている。

シンプルさ(ムダなく作れる量を最大限にすること)が本質です。

もうひとつ、顧客満足こそ、価値であると謳っている。

顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します。

 

私たちは、時間をかけて、ムダなものを盛大につくってきたのである。これは、スコープありきのプランニングをしてきた弊害だ。

だから、計画はリリース駆動に切り替えよう。
あらかじめ、リリースタイミングを決めてしまうのだ。そして、このアプローチを組織全体で尊重する。

時間は固定だから、何をつくるか、頭をひねって選ばないといけない。限られた時間の中で、最大の価値を生むバックログを選び抜かないといけない。

どうするか?

優先順位付けである。

プロダクトバックログの見直しは、プロダクトオーナーの仕事だ。継続的に利害関係者を巻き込み、優先度の高いストーリーを細分化する。

上位のバックログであっても、詳細化すると、更に優先順位付けが可能になる。重要なスコープも分解すると、重要さに濃淡がでる。そうやって、優先度が低くなったバックログをどんどん剥がしていく。

最後は、スリムな、絶対価値をもつバックログが残る。これこそが、開発チームが全力で実装する価値の塊だ。

リリースを決め打ち、期限内にはまるようバックログの皮をどんどん剥がしていく。エントリーするのは純度100%のまばゆい価値の塊だ。

ムダな機能をつくらず、プロダクトをシンプルに保つ。

速やかに、予定通りに、スコープを最適化して、顧客に届ける。

海が赤くなる前に、シンプルで競争力のあるプロダクトを顧客に届けよう。