アジャイルはジャストインタイム(JIT)で計画して実装する

アジャイルでは、ジャストインタイムで精緻化して進める。

ジャストインタイムは、英語でJITと書かれる。
英語では、日本語と同じ「ジャストインタイム」、または「ジット」、「ジェイ・アイ・ティ」と言われる。

トヨタ自動車のTPS(トヨタ生産システム)に由来し、生産現場でよく使われる言葉である。

ソフトウェア開発でも、ジャストインタイムはちょくちょく耳にする言葉だ。

アジャイルでは、詳細計画をジャストインタイムで作る。

プロダクトのリリースロードマップはプロダクト開発初期に作るが、詳細計画は、正に作業に取りかかるタイミングで作成する。

スプリントバックログは、スプリント単位で作るのと同じだ。

なぜか?

それは、計画が変わるからである。

従来型開発では、プロジェクト初期に、綿密にプランニングしてWBSを作っていた。要求がクリア、固定、そしてソリューションも決まっているなら、最初から精度の高い計画が可能だ。

だが、アジャイルは不透明な状況において使われるアプローチである。不透明な状況で精度の高い計画は作れないし、ヘタに前提を置いて計画してもムダになる。経験値のない案件で、既存の考え方で前提を置いても間違っているだけだ。計画をムリして作っても、やり直しになる。

だから、詳細計画はジャストインタイムで行う。

アジャイルでは、リスクや価値の高いモノから順番に実装していく。全てを一度にするわけではない。
だから、アイデアを優先順位付けして、順番に計画・実装していく。ギリギリまで判断を遅らせて、最新の状況を踏まえて計画すれば、自然と精度は高くなる。信頼できる計画になる。

ジャストインタイムで、次のことを行う。

  • 要求だし
  • 要求の具体化(受入基準の特定)
  • 要求の見積り
  • 要求の優先順位付け
  • 今回のスプリントで実装する要求の選択
  • 要求の計画
  • 要求の実装

不透明な状況の中、完璧な要求を最初から出し切るのはムリだ。
最初に取りかかる分だけ、ジャストインタイムで精緻化し、見積り、計画し、実装する。

イテレーションが進む毎に、プロダクトインクリメントや外部の環境を検査し、適応する。リスクや価値を見直し、バックログを並べ替え、今までの実績を踏まえて見積り、計画を具体化する。

明日着る服を今日選ぶことはできるだろうが、1週間後に着る服を今日選ぶことはできない。
1ヶ月後の天気を予想して、前提を置いて着る服を決めても、どうせ変わる。1ヶ月後が晴れか雨かわからないし、台風が来ているかもしれない。。

トランプの「神経衰弱」というゲームがあるが、1番手は不利だ。順番が最後の人にアドバンテージがある。どこになんのカードがあるかわかるからだ。カードがわからないのに、懸命に推測してもムダである。

カードゲームのブラックジャックも同じだ。ハウス側のカードを見て判断する。ディーラーのカードを見ずに、「ヒット」するか「スタンド」するか計画しても無意味だ。ジャストインタイムで、ゲーム毎に、相手と自分のカードを見比べて、最適な打ち手をシュミレーションして、決める。

不透明な状況の中、最初から精緻な計画をしても意味がないのである。状況は刻一刻と変わっていくから、リアルな状況を捉えてジャストインタイムで判断する。

アジャイルでは、ジャストインタイムで精緻化して、次なる一手を決めるのである。

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