PRINCE2 Agile ヘルスチェックリスト

PRINCE2 Agile公式マニュアルの巻末に「健康チェック」の付録がある。

アジャイルなプロジェクトができているか、問うチェックリストである。
チェックリストには、以下の4つのカテゴリーがある。

  • ビヘイビア(ふるまい)
  • 環境
  • プロセス
  • テクニック

各カテゴリーには、それぞれ10個以上のチェック事項があるが、今回、私が特に重要だと考える項目を3つづつ厳選してご紹介しよう。

Prince2 Agileの公式マニュアルをじっくり読みたい人はこちらをどうぞ。

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まずは、英語の原文を引用する。以下は、Prince2 Agile公式マニュアルからの抜粋である。

Behaviours

  1. Collaboration, trust and a no-blame culture exist.
  2. There is a culture of inspect and adapt and continual improvement.
  3. Teams are regularly talking about the delivery of value and benefits.

Environment

  1. The team is stable, ring-fenced and working well together.
  2. There is a thirst for feedback and a collective desire to find out what the customer really wants.
  3. Control has a light touch and people are empowered.

Process

  1. Requirements and user stories are explored and not just followed blindly.
  2. Planning and work are feature-focused and timeboxed.
  3. A lot of planning is being done empirically.

Techniques

  1. Prioritization is happening continually, and timeboxes are not being extended or having people added to them.
  2. Acceptance criteria always exist and are well written.
  3. User stories are being used to stimulate conversation and communication.

では、私の解釈も加えながら、順番に見ていこう。

ビヘイビア(ふるまい)

Collaboration, trust and a no-blame culture exist.
コラボレーション、信頼、そしてメンバーを責めない文化がある。
協業する仲間を信じ、教えあい、学びあい、カバーし合う文化があること。

There is a culture of inspect and adapt and continual improvement.
検査し、適応し、継続的に改善する文化がある。
製品であれ、進め方であれ、検査と適応を繰り返し、継続的に改善していくマインドがあること。

Teams are regularly talking about the delivery of value and benefits.
チームは、価値とベネフィットを届けることを定期的に話し合っている(技術的なタスクや担当するコンポーネントではなく)。
チームは顧客視点を重要視し、顧客にとっての価値をいかに届けるか話し合う。作り方も話すが、顧客の価値をデリバリすることを話しているか。

環境

The team is stable, ring-fenced and working well together.
チームは安定し、専任で、よく協働する。
チームがよく協働するには、同じゴールを共有し、メンバーが固定でかつ専任メンバーで、安心して作業できる環境がなくてはならない。

There is a thirst for feedback and a collective desire to find out what the customer really wants.
顧客からのフィードバックを熱望し、顧客が真に望むモノを見つけたいという共通の要求がある。
顧客に価値を届けるには、顧客の真の要求を発掘するパッションが必要だ。

Control has a light touch and people are empowered.
管理は軽くして、作り手に権限を与える。
ガバナンスは最小限にし、作り手の創造性に火を付け、現場を活力に満ちたものにする。デリバリーチームが主役だと感じられる環境が必要だ。

プロセス

Requirements and user stories are explored and not just followed blindly.
要求とユーザーストーリーは探索されるべきであり、額面通り作られるべきものではない。
顧客には失礼だが、顧客は本当の要求を知らない。顧客と共に要求を発掘しよう。顧客が欲しいモノを紐解くプロセスがあること。

Planning and work are feature-focused and timeboxed.
計画と作業はフィーチャー駆動で、費やす時間も決めておく。
計画作りも作業も、顧客にとって価値のある機能・サービスを届けるためのプロセスであること。また、制限時間を設けて、作業を最適化するプロセスになっていること。

A lot of planning is being done empirically.
何度も繰り返し計画する。
計画をアップデートするプロセスであること(古い計画に闇雲に従うのではなく)。リアルタイムで状況を検査し、適応し、ジャストインタイムで「今」最適な計画をつくる。

テクニック

Prioritization is happening continually, and timeboxes are not being extended or having people added to them.
優先順位付けを継続的に行い、制限時間を厳守する。間に合わせるために人を追加しない。
時間を基準とし、スコープを調整する。スコープをシビアに優先順位付けし、納期に合わせる。スコープ達成のために人を追加しない。

Acceptance criteria always exist and are well written.
受入基準を常に書く。
受入基準が漏れなく書かれており、よくわかること。ストーリーが受入れられる為になにが必要なのか明快であること。

User stories are being used to stimulate conversation and communication.
ユーザーストーリーは会話の「きっかけ」。
ユーザーストーリーは仕様書ではなく、利用者ニーズを端的に簡潔に記載したもの。ストーリーの目的は、使い手と作り手の視点を重ねるためのきっかけである。

PRINCE2 Agileの「健康チェック」では、これらの質問に「はい」または「いいえ」で答える。「はい」なら、アジャイルなプロジェクトと言える。「いいえ」なら改善が必要。

あなたがPMなら、プロジェクト開始時や、プロジェクト期間中、定期的にチェックしてアジャイルなプロジェクトになっているか確認しよう。

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