マセラティをご存じだろうか。
マセラティは1914年にイタリアボローニャで生まれたスポーツカーメーカーである。現在はアルファロメオと同じフィアット傘下にあり、「ラグジュアリー」と「スポーティー」をコンセプトに売り上げを拡大している。
英語では、「マゼラティ」と呼ばれている。
そんなマセラティのホットな一台は「レヴァンテ」だ。マセラティ初のSUVとして2016年に発売された。
フォルムが息を呑むほど美しい。フロントグリルにはマセラティお決まりのトライデントが鎮座し、確かな存在感を放っている。
最近は都内でもレヴァンテをよく見かけるが、独特の雰囲気がある。美しいラインと力強い顔つきが個性的で、外観のエレガントさはマセラティそのものだ。
一方仕様はというと、2016年から販売されているノーマルタイプは極めてフツウである。
エンジン:V型6気筒 3L ツインターボ
最高出力:350ps/5750rpm
最大トルク:51.0kgm/4500rpm
燃費(欧州値):9.3km/L
0−100km/h加速:6.3秒
最高速度:243km/h
レバンテSなら、ちょっとパワーアップしている。
エンジン:V型6気筒 3L ツインターボ
最高出力:430ps/5750rpm
最大トルク:43.8kgm/5000rpm
燃費(欧州値):9.2km/L
0−100km/h加速:5.2秒
最高速度:264km/h
ゼロ百加速が5.2秒はまぁまぁ速いが、昨今パフォーマンスカーが犇めいている状況で、特筆できる加速力ではない。スポーツカーブランドなんだから、4秒台は欲しいところであった。。
だが。。
2018年、待望のV8エンジン(フェラーリ謹製)を積む「レバンテGTS」、そして限定車「トロフェオ」がリリースされた。
この2モデルは一気に加速している。
レヴァンテGTS
エンジン:V型8気筒 3.8L ツインターボ
最高出力:550ps/6250rpm
最大トルク:78.5kgm/2500~5000rpm
0−100km/h加速:4.2秒
最高速度:292km/h
レヴァンテ・トロフェオ
エンジン:V型8気筒 3.8L ツインターボ
最高出力:590ps/6250rpm
最大トルク:78.5kgm/2250~5000rpm
0−100km/h加速:3.9秒
最高速度:300+ km/h
ノーマルタイプはやや物足りなさがあったが、こちらの2モデルは一気に魅力的になっている。「狩野モデル」なら、これがあったらと思うポイントをずばり満たしてきた感じだ。
ゼロ百加速もGTSは4秒台前半、トロフェオはSUVとしては異次元の3秒台に突入している。あのベントレーベンテイガ12気筒すらも超えてしまった。。あっぱれマセラティ。
マセラティレヴァンテのトロフェオとGTS。この2台は、アジャイルの「プロダクト思考」そして「継続的カイゼン」を見事に体現している。
ノーマルマセラティは外観は秀逸だが、性能は極めてフツウであった。「プロジェクト思考」なら、スポーツブランドのマセラティがSUVを出したというだけで話題性があり、それだけで満足していただろう。だが「プロダクト思考」なら、単にベースモデルを出しただけで、SUVのセグメントのスタートラインに立っただけである。
マセラティはそれをちゃんとわかっていた。プロダクトの進化が、そこから始まることを理解していた。
ノーマルモデルから2年、フィードバックから学習し、改良を繰り返し、らしいV8モデルを投入してきた。
スポーティーで存在感のある外観、ため息が出るほど艶やかなインテリア、そしてずばぬけたパフォーマンス。
顧客がマセラティに求める全てをこの2モデルは備えている。
アジャイルの「プロダクト思考」「学習によるカイゼン」「プロダクトの進化」を体現したV8レヴァンテ。本当に魅力的なプロダクトである。
レヴァンテGTSのYouTube動画(68秒)。ご興味のあるかたはどうぞ。エンジンサウンドも楽しめます。
プロダクト進化に欠かせない「ふりかえり」。
「ふりかえり」の大御所 Derby/Larsen両氏の「アジャイル・レトロスペクティブズ」。160ページほどの読みやすい書籍です。訳者はスクラムガイドの訳者でもある角征典氏。
![]() |