スクラムマスターは「スクラム」のひとつのロールです。
スクラムマスターのサポート領域は広範囲に及びますが、ひとことで言うとスクラムチーム全体の生産性を上げることです。ですから、主たる支援の対象は、プロダクトオーナー、そして開発チームです。
製品・サービスに関して、スクラムマスターが直接決定することはありません。
- Why/What – プロダクトオーナーが決定
- How/How long – 開発チームが決定
- When – POと開発チームで決定
スクラムマスターは、POや開発チームが製品・サービスを顧客に届けるために、スクラムチームが最も効果的に働けるようサポートします。
- チームにスクラムについてコーチングする
- チームの障害を取り除く
- POに要求の仕入れと管理・優先順位付けの方法についてコーチングする
- 開発チームに速やかに、そして頻繁にリリースできるために必要な技術的プラクティスについてコーチングする
- 組織的な制約の解決を支援する
スクラムマスターはプロダクトではなく、プロダクト制作に関わる人たちの支援に専念します。
スクラムマスターとして成長するために、私は5つのマインドが必要だと考えています。
- やってみる
- 真似る
- カイゼン
- 恐れない
- 続ける
スクラムガイドにもありますが、スクラムは経験主義ですから、やってみることが大切です。行動してみて、始めてわかることも多いです。まずは質より量です。短期の1週間スプリントで、スクラムを回してみる。行動量を増やしてみることです。
二つ目の「真似る」は、他のスクラムマスターのよいところを真似ることです。真似ることは学ぶことです。スクラムイベントのファシリテーションであれ、情報ラジエーターの使い方であれ、いいと思ったことはご自身が支援するチームに取り入れて行けばいいのです。
三つめはカイゼンです。スクラムのスプリントにはデフォルトで「ふりかえり」イベントが含まれています。立ち止まって思考することで、新たな発見があります。それらをカイゼンアクションに繋げます。プロダクトとそれをつくるプロセスに完璧はありません。常に、更なる高みを目指してカイゼンを図ります。
四つ目の「恐れない」は、失敗を恐れないことです。スクラムが使われる不透明な状況では、短期的な失敗はつきものです。失敗しても、次のスプリントでカイゼンすれば、もはや失敗ではありません。有益な学びです。チームが日々実験して学んでいくために、スクラムマスターは失敗を恐れない態度が大切です。全てが学びだと捉えるなら、チームも安心し、果敢に実験していくことができます。
最後の「続ける」は、継続していくことの重要性です。最初は、うまくいかないかもしれません。リリースした製品・サービスが評価されないかもしれません。評価されないからやめるのではなく、評価されないなら、なぜだろうと研究する姿勢が大事です。継続は力になります。
よいスクラムマスターに必要な5つのマインド:
- やってみる
- 真似る
- カイゼン
- 恐れない
- 続ける
スクラムマスターは製品について決定する役割ではなく、製品製作に関わる人たちを支援し奉仕する役割です。ですから、製品や技術についての圧倒的なドメイン知識よりも、人間中心の効果的な働き方について考え、思考を深めていくことが大切です。
優れたスクラムマスターは、POと開発チームをうまく噛み合わせ、チーム全体が、楽しく、持続可能なペースでスプリントを過ごし、イノベーティブな製品製作に専念できるようにします。
5つのマインドは、スクラムマスターがよいスクラムチームを創るために欠かせないポイントです。