プログラムインクリメント(PI)プランニングにおける確信度投票

SAFe(Scaled Agile Framework)のプログラムインクリメントのプランニングイベント(PIプランニング)に「確信度投票」と呼ばれるものがあります。

これは実装チームがPI目標の達成について、どれだけ確信があるかを尋ねる儀式です。チームメンバーは片手の5本指を使って、確信の度合いを同時に表明します。

具体的には挙げる指の本数で確信度を示します。

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  • 1本指:確信がない。目標が達成できない
  • 2本指:確信があまりない。おそらく目標が達成できない
  • 3本指:そこそこ確信がある。目標を達成できるだろう
  • 4本指:強く確信している。目標を達成できるはずだ
  • 5本指:非常に強く確信している。非常に高い確率で目標を達成できる

平均3本以上であれば、プログラムインクリメント計画は完成です。平均が3本に満たなければ、やり直しです。スコープ調整やリリースタイミングの見直しが必要になります。

プログラムインクリメントプランニングもスクラムのスプリントプランニング同様タイムボックスイベントですが、チームのコミットメントが得られない状況では先に進めませんから、必要な時間をとって調整を重ねます。時には、翌日の午前中もPIプランニングを継続することもあります。

チームの確信度投票でコミットメントが表明されたら、プランニングは終了です。

ここでいうコミットメント(確約)とは、以下のことを指します。

  • チームは、合意した目標を達成するために最善を尽くすことを確約する
  • 時間と共に、状況が変化したり、新たな学びにより気づきや発見が生じ、PI目標がもはや達成できないことが示された場合には、上級マネジメントにエスカレーションすることを確約する

計画されたスコープ全量のデリバリを約束している訳ではないので注意してください。

プログラムインクリメントプランニングでは通常2~3ヶ月分の計画を立てます。複数スプリント分の将来のプランニングになりますから、当然、予測可能性は下がります。作業を進める過程で、ずれが生じる事もありますから、プロダクトオーナーや上級マネジメントと相談しながら、必要なタイミングで再計画します。プログラムインクリメントプランニングで策定された計画は、現時点における最適なプラン(予測)にしか過ぎません。

マネジメントがアジャイルを理解していない場合、2~3ヶ月プランが策定されるとその通りスコープがデリバリされると思われがちです。チームの確約が計画通りの実装やスコープ全量のデリバリを確約している訳ではないことを、PIプラン完成時にしっかり理解してもらいましょう。