プロダクト開発は「内外製分析」から始めよう

アイデア・コンセプトを製品化する際、「内外製分析」から検討するアプローチがある。

内外製分析は、英語で”Make or Buy Analysis”とか “Make or Lease Analysis”と言われ、その名前の通り、自社で作るか、他社に外注するかの選択のことだ。

判断基準は2つある

  1. 自社にとってのコア領域かどうか
  2. コストメリット

これを4象限マトリクスで表現したりする。

一般的には、自社にとって重要なドメインで、コストメリットもあれば内製化すべき。戦略的に重要な製品ラインは生産機能も内製化して、柔軟な体制を構築する。

一方、自社にとってそれほど重要でないドメインで且つ外注した方が安いなら、外に任せる。

悩ましいのは、自社にとって重要なドメインであるが、内製化にコストメリットがないケース。外注した方が安いケースだ。
この場合は、取引先が将来的にも安定して製品を供給できるか、柔軟に対応できるかがポイントになる。安定供給とは、生産量だけでなく技術力も品質も含む。リスクが高ければ、内製化する戦略を採る。

内製化するに当たっては、以下の考慮も必要となる。

  • 必要な技術者を確保できるか
  • 技術者が継続的に成長できる環境を整備できるか(エンジニアのモチベーションを維持できるだけの技術的環境に投資し続けられるか)

内製化するということは、企業内に新たなケーパビリティーを構築することなので、単なる「作る・任せる」の話ではなくなる。プロダクトライフサイクルを俯瞰して、中長期的に製品・サービスを拡張・維持していくコミットメントが必要になる。デリバリーだけでなく、運用・保守も含むのである。

内製化の1番のメリットは、自社に技術的なスキル・経験を蓄積できることだ。必要な時に、必要なだけ、他に依存せずに実装できる柔軟性を組織の中に備えることは絶大な安心感・安定感につながる。

企業レベルの内外製分析の話をしてきたが、この概念は個人レベルでも日常的に使える。

  • 自炊するか外食するか
  • スノーボードを買うか、借りるか
  • クルマを買うか、借りるか
  • 自宅を所有するか、賃貸か
  • ワイナリーを買い上げるか、ワイン農場の一部を借りるか

今晩自炊するか外食するかなら、内外製分析のような堅い分析をしている意識はないだろうが、瞬時に個々のメリットを考えているはずだ。

内外製分析:

  • コア領域かどうか
  • コストメリットがあるかどうか

自社でなんでも製品化するのではなく、「頼んで提供してもらう」という選択肢もある。いろんなシチュエーションで使える考え方なので、「そもそも作るの?」から検討してみてはいかがだろうか。