イノベーティブなプロダクトには安心して使える品質が不可欠である

2019年のゴールデンウィークは元号変更もあり10連休であった。この休みを利用して旅行に出かけた人も多いだろう。

私も、家族でちょっとした旅行に出かけてきた。新幹線を利用したのだが、東京駅で多くの外国人旅行者を見かけた。15分ほど荷物番をしていた間も、バックパックやスーツケースを持った観光客がめまぐるしく東京駅を行き来していた。表にある地図の前で途方に暮れている外国人の姿もあった。手元のガイドブックとにらめっこしながら目的地を確認しているようだが、漢字表記でよくわからない様子であった。

母国語しか知らない外国人が漢字文化の日本に来るのは相当勇気がいるだろう。それでも、日本に来てくれるのは日本への興味が大きいから。それが日本の文化であれ、食であれ、電化製品であれ、ありがたいことである。

そして、もう1つ大きなインセンティブは日本がとても安全で治安のよい国であることが挙げられる。日本は世界一安全な国とも言われるが、それくらい安心して暮らすことができる国なのである。

自国と全く違う文化の外国に行く際、現地の慣習と並んで気になるのは治安だ。エキゾチックな国であればある程、治安の良さがないとリスキーだ。現地に知り合いもいない、言葉もわからない、犯罪率も高いエリアに、家族や恋人と旅行したいと思う人はほとんどいないだろう。

プロダクト開発にも同じ事が言えるのではないか。

まだ使ったことがない革新的なプロダクトは安全であることが重要だ。目新しいプロダクトで頻繁に発火したり、怪我をするような代物はとても怖くて使えない。イノベーティブであればある程、品質が求められる。安全で、安心して扱えるものでなくてはならない。

イノベーティブなプロダクトには最初から高い品質が求められるのである。品質が確かでないと広まらない。

新しいアイデアやコンセプトに魂を入れるのは品質である。安全で安心して使ってもらえることが、新しいプロダクトを導入する際の前提条件になる。

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