アジャイル宣言の背後にある原則「顧客満足」を定義しよう

アジャイル宣言の背後にある原則は全部で12個ありますが、ひとつ目の原則はこちら。

顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します

ポイントは、最初の「顧客満足を最優先」です。

「顧客成果物を最優先」ではない事に注意してください。「成果物」ではなく「満足」です。アジャイルが「価値駆動」だとか、「成果物より成果」といわれる所以です。私たちは、顧客に成果物を提供するのではなく、顧客に満足を提供することが求められています。

従って、「何を作るか言ってください。それを作りますから」の姿勢では顧客を満足させることはできません。成果物の先を考えなくてはなりません。顧客は成果物をどう使って、どんな満足を得ようとしているのか、成果物の先にある「成果」に焦点を当てなくてはなりません。

成果に焦点を当てるとは、課題設定もすることです。

顧客のペインや困っていることを理解し、顧客の課題を理解します。この課題がなくなることが成果であり顧客満足です。そしてこの顧客満足を生み出す成果物(製品・サービス)を定義し、提供します。

成果物はソリューションの一部です。

今までは顧客に課題設定をしてもらい、必要となる成果を特定してもらい、成果物まで落とし込んでもらいました。そして、開発側や協力会社は仕様書通りに成果物を作ってきました。開発側のミッションは仕様書通りに、システムソリューションを構築することでした。

対して、アジャイルで開発するということは、単にタイムボックスで反復して作るだけではありません。顧客のペインを学び、顧客と共に課題設定し、課題を解消する成果物をソリューションの一部として定義し、提供することです。

焦点を当てるのは、顧客満足である成果です。そして成果を届けるには、顧客と課題を共有し、顧客と一緒になって成果物を練り上げていくことが重要です。超上流から、顧客のペインに積極的に関わっていくことです。

プロジェクトで要件定義書ができていても、プロダクトバックログを渡されても、すぐに着手してはいけません。最初にすべきは、顧客を知り、顧客と課題を共有することです。それから、なにを作るかを探索的に具体化していきます。

顧客は、顧客が求める成果をデリバリーしてもらってこそ満足します。成果の呼び水は成果物です。ゴールを成果と捉えると、成果物はそこにたどり着くためのソリューションです。成果物の定義を顧客任せにせず、開発側も積極的に関与していくことで顧客満足をデリバリーします。