プロダクト制作には、「実現可能性」と「持続可能性」の両方が必要です。
製品やサービスを支えるソフトウェアやシステムにTCO(Total Cost of Ownership)という考え方があります。「総所有コスト」と言われるもので、システムの入手や導入から使用を経て廃棄にいたるまでのライフサイクルコストのことを指します。
よくある話しなのですが、プロジェクトやプログラム開始時に初期導入コストだけをみてビジネスケースを評価し、するしないの判断をします。なにもしないよりはましですが、一般に導入コストは全体の3割程度ですから、一部分だけをみて判断を下していることになります。
製品・サービスは顧客の手に渡ったときからスタートします。導入後も継続的に磨きをかけ、顧客の満足を維持・向上していかなくてはなりません。
0→1への「実現可能性」はもちろん、1→1.1→1.2へと「持続可能性」も必要になります。この両輪が揃ってこそ、太く健全なプロダクトを存続できるのです。
マーケットのパラダイムシフトの変化によっては、2.0、3.0と大きな改良が必要となるケースもあります。そういう意味では、「実現可能性」以上に、「持続可能性」が必要になります。
ひとつの動きとして、組織内にエンジニアリングのコンペテンシーを構築する内製化があります。そこで問題となるのが、既存の協力会社との関係です。運用・保守を任せていたレガシーシステムをどうするのかの問題もあります。マネジメント中心の自前の社員をいかに実行者にするかの問題もあります。ロールの変更や組織デザインの変革に話しは広がっていきます。
ここで重要なポイントは、プロダクトの戦略的な位置づけです。短期間の使い捨てキャンペーンサイトなら、プロジェクト単位で考えればいいでしょう。一方、戦略上重要な製品・サービスを支えるソフトウェアやシステム構築は「持続可能性」をシビアに考えなくてはなりません。初期の購入・導入だけの視点では後々痛い目に遭います。
これからは、以下の視点で判断していくことが重要になります。
- プロジェクト vs. プロダクトの視点
- 実現可能性x持続可能性
現在検討中の製品・サービスの作り方を考える判断基準にしてみてください。