スクラムの経験的プロセス制御の理論

スクラムガイドの4ページ目に「スクラムの理論」の説明があります。

メイントピックは、透明性・検査・適応の3本柱なのですが、冒頭の部分をもう一度噛みしめたいたいと思います。

まずは原文をそのまま載せます。

スクラムは、経験的プロセス制御の理論(経験主義)を基本にしている。経験主義とは、実際の経験と既知に基づく判断によって知識が獲得できるというものである。スクラムでは、反復的かつ漸進的な手法を用いて、予測可能性の最適化とリスクの管理を行う。

経験的プロセス制御の理論(経験主義)・・。「経験的プロセス制御の理論」「経験主義」どちらも日常的に聞き慣れない言葉ですね。私自身、アジャイル界隈以外で「経験的プロセス制御の理論」を耳にしたことはありません。

ポイントは「実際にやってみたこと」を基準にしている、ということです。

ただし、ここで言う経験は単なる個人的な体験のことではありません。明確なゴールがあり、それに向かって行動し、客観的に評価した結果のことです。結果には科学的に実証された事実やデータがあります。実践することで未知の領域を少しずつ解明し、既知に変えていきます。

スクラムではスプリントの度に結果を評価し、既知の階段を一段ずつ積み上げていきます。この科学的な実証プロセスによって、未来(未知)の予測可能性を最適化し、リスクをコントロールしていきます。

3行ほどの文章でさらっと書かれていますが、この冒頭部分を正しく理解することで、続く「透明性・検査・適応」の理解が深まります。

既知の透明性を最大化することで、正しい検査・適応が促されます。

経験主義について過去にも書いていましたので、こちらも併せてどうぞ。