ソフトウェアでたびたび耳にするIPO。Input, Process, Outputのことです。流れとして、インプット→プロセス→アウトプットになるからIPOと呼ばれています。
アウトプットをつくるのはインプットとプロセスです。プロセスは何らかの加工をすることですが、インプットに付加価値をつける活動です。付加価値をつけないプロセスは悪であり、インプットをそのまま出した方が時間の無駄も生じません。
アウトプットを均一にしたいなら、インプットとプロセスを一定に保たなくてはなりません。インプットとプロセスが安定しないとアウトプットが標準から逸脱してしまいます。
一方、アウトプットに変化をつけたい場合は、インプットかプロセス、またはその両方を変える必要があります。カイゼン活動ではアウトプットをより望ましい状態に変えていきますが、インプットもプロセスも同時に変えてしまうと、変数と因果関係が特定しにくくなるため、どちらか一方だけ、そして少量だけ変えていきます。そうすれば、ひとつの変数をどれだけ変えたら、結果としてどれだけ変わるかを把握することができます。
先日食事をしていたお店ではカウンターキッチンで調理場の様子を伺い知ることができました。そこで、ある板前が「おまえ、何度言ったら分かるんだ」「切り方が反対なんだよ」と声が。
切り方が反対だから、筋がでてしまうということのようです。
大きい魚は筋も大きいですから、切り方によって繊維が気になることがあります。繊維にそって切る魚と繊維を切断するように切る魚で区別する必要があったのかもしれません。あるいは、魚の表と裏で、同じ切り方をしてしまったのかもしれません。
IPOモデルの理論上、アウトプットを均一にするにはインプットもプロセスも一定にしなくてはなりません。ただし、魚は正方形ではありませんから、表と裏、上部と下部で切り方を変えないといけません。ベテランの板前ではあたりまえのことが新人には共有されていなかったのかもしれません。
プロセスを一定にするということは単に同じ事を繰り返すことではありません。仕入れた素材が表なのか、裏なのか、頭なのか尾っぽなのか判断して、最適なプロセスで合わせていくことです。それが付加価値をつけます。
アウトプットを同じにする場合でも変化をつける場合でも、インプットがどのような状態なのか把握し、JIT(ジャストインタイム)で付加価値プロセスに調整を入れていく判断が不可欠です。