注文ルールはメニューデザインに落とし込むべきな、オイスターバーでの体験

ニューヨークのグランドセントラル駅奥にある「グランドセントラルオイスターバー」をご存じでしょうか。好きなオイスターを1ピースからサンプリングでき、いろんな産地・種類のオイスターをワンプレートで楽しめるお店です。白ワインやローカルのビールと合せて自分セレクトのオイスターを満喫できます。

今回は2年ほど前に、久しぶりにニューヨークに訪れた際、グランドセントラルのオイスターバーで食事した体験についてのお話です。

入り口を入ると、ウエーターにバーかテーブルか聞かれました。私は食事をしかたったのでテーブル席を頼みました。ボストンラガーで喉を潤しながら、半ダースのオイスターを楽しみました。そして、ビールをお代わりしながら、アラカルトメニューを3つ頼みました。すると、テーブル担当のウェーターはメインも頼めと言ってきます。私は、いろいろ楽しみたいからアラカルトで頼むと伝えました。ウエーターは引き下がりません。彼はアラカルトだけならバーメニューと同じだから、バーに移動してもらうと言い出すではありませんか。

私は心を落ち着かせながらアントレから一品頼みました。

お料理はどれもおいしくいただけたのですが、そのウエーターはいただけませんでした。極めつけは、食事後に20%のチップをつけたチェックをテーブルに置いて行きました。ご存じの通り、チップを弾むかどうかは客が決めるものです。そして、一般的なチップは10~15%です。

私はマネージャーを呼んで、アラカルトであれメインであれ客が自由に選ぶ権利があること、チップもいくらつけるかは客が決める権利があると言ってやろうかと思いました。

その時は、私ひとりではなかったこともあり、そのまま会計を済ませて店を出ました。

今回の件は、よい顧客体験についてあれこれ考えていた時に、運悪く思い出してしまったのですが、あのウエーターの対応から、客単価、そして自分自身が手にするチップしか考えていなかったと思います。もちろんお店の収益も大切ですから、グランドメニューでは、アラカルトから2品+アントレから1品選ぶようなプレフィックスコースにデザインにするとか、アラカルトだけでも利益が出せる価格に設定するとか工夫すべきでした。

アントレを頼まなくてはいけないルールは、ウエイター個人のルールなのかお店のシステムかはわかりません。ただ、アントレを頼まないなら席を移動するというのはあり得ません。

アラカルトだけでも、アントレ一品だけでも、どのように注文されても、顧客に感謝でき、店も健全な利益が上げられるのがWinWinのサービスです。

グランドセントラルのオイスターバーの味は間違いありません。私もニューヨークに行く時はまた寄りたいと思います。そして、その時はテーブルでもアラカルトだけ楽しめるか確認したいと思います。