英国プロジェクトマネジメントPRINCE2 Agileでは、品質は可変です。品質は可変と話すと、いつも怪訝な顔をされるので説明します。
PRINCE2では、6つの視点でプロジェクトを評価します。品質はその内のひとつです。6つあるので、ヘキサゴンと言われます。下の図をご覧下さい。

PRINCE2 Agileでも時間とコストは固定です。そして、この制約の中でスコープを調整します。ヘキサゴンの下にスコープと品質が並んでいます。すなわち、品質も調整対象になります。
一般に、アジャイルでは品質は完成の定義や受入基準で定義し、TDD等の技術プラクティスで担保していきます。そのため、品質が可変と聞くと完成の定義が強くなったり弱くなったり、受入基準が制作中に変わると誤解されます。
説明します。
PRINCE2 Agileでは、固定の品質と可変の品質があると考えます。固定の品質とは完成の定義や受入基準で満たさなくてはならない品質です。満たさないとDoneとは見なされず、POに受入もしてもらえません。プリンスでは「エッセンシャル品質」と読んでいますが、必ず満たすべき品質基準です。
一方、完成の定義や受入基準以上の品質は調整の対象と考えます。時間とコスト制約の中で、基準以上の品質を納められるなら納める。難しいなら、最低限のDoneと受入基準を満たすという考え方です。
例えば、300メートルの防水時計を納めるとします。プリンスではよくMOSCOW法で考えます。
- 防水性能300メートル ー Must
- 防水性能400メートル ー Should
- 防水性能500メートル ー Could
- 防水性能600メートル ー Won’t have this time
そもそも防水時計として売るのですから防水300メートルは絶対に満たさなくてはなりません。したがって、品質固定です。
一方、それ以上の品質は制約に応じて柔軟に調整可能です。高い性能は一般に望ましいことですが、時間とコストを優先し、品質を調整します。
プリンスアジャイルでもエッセンシャル品質は固定です。最低レベルの品質を満たした上で、制約の中で+アルファの品質を調整します。