品質の見方と改善モチベーションの関係

一般的に日本人は品質に厳しいです。ある意味、シビアであり悲観的です。

むかし米系の会社に勤務していた際、業務部門のトップがSLA達成率95%を自慢していました。本社ではSLA80%あればよいらしく、90%以上というのは圧倒的なサービスだそうです。彼のまばゆいばかりのどや顔を今でも思い出します。

SLA80%でよいかどうかは、もちろん製品やサービスドメインに依存します。日本だけでなく米国でも100%でなくてはならないケースもあるでしょう。でも、アメリカでは一般的に8割できていればすばらしい、残りは改善していけばいいという考え方が主流です。一方、日本では達成できていない5%を見て落ち込んでしまうケースがあります。

コップの水が半分あるとき、まだ半分もあると思うか、もう半分しかないと思うかの話しに似ています。SLAを95%も達成したと胸を張るのか、5%できなかったとしょんぼりするのか。同じ数字でも受け方によって態度は全く変わります。

日本人の品質を真摯に考え完璧をめざす姿勢が、ジャパンクオリティをつくりました。ですから、これまでの私達の品質を考える姿勢は正しかったとも言えます。

これからの将来を考えたときに、不透明な世の中で最初から100%の品質をつくるのはなかなか大変です。不可能ではないでしょうが、相当な時間とコストを要します。それよりも、SLA80%、あるいは70%でもいいと思えるメンタリティは強いと思うのです。世に出してみて、残りの20~30%は改善していく考え方は心にポジティブに作用します。

95%ものSLAを達成しながら、もうあとがない。次は100%しかないというメンタリティーと、今は70点だけど次は75点をめざそうというメンタリティとでは、どちらが改善のモチベーションが高まるでしょうか。

今ある品質を愛でて、チームで喜びあうことで、次なる改善モチベーションが湧いてくるのではないでしょうか。