ウォーターフォール開発とアジャイル開発の対比は語りつくされている感がありますが、敢えて料理に例えると「おいしい」と判断する人が、料理する本人なのか他人なのかだと考えています。
「おいしい」の判断を下す人が他人ならば、その人にとってのおいしいを作ることがミッションですから作っている過程でもソースをサンプリングしてもらってその人の求める味になっているか検証が必要です。自分にとってはこれが一番という味付けもあるでしょうが、一番優先すべきは食べる人の「おいしい」です。
一方、ウォーターフォール型で例えると、おいしいと判断するのは自分自身です。プロジェクトのコンテキストでいうなら作る人にとって一番よいと思える進め方が最優先になります。自分たちがおいしいと思えればよい訳ですから、他人に検証してもらう必要はありません。自分たちが最高と考える味を求めてそれをぶれずに作っていく信念が大切です。
ウォーターフォールはある意味、芸術家のそれに似ています。本物の画家は売るために絵を描きません。画家自身のセンスと魂を一枚のキャンバスに注ぎ込むのです。最終的に売れれば嬉しいでしょうが、お金儲けが目的ではありません。画家の評価基準は自分が納得できる絵を仕上げることであって、絵が売れることではありません。すなわち成果物(作品)が重要なのであって、成果は二の次なのです。
成果を求めるなら買ってくれる人の評価を気にする必要がありますから、もし画家なら、パトロンを見つけ、そのパトロンに気に入れるように似顔絵を描かなくてはなりません。そうでないとお金を払ってもらえません。
おいしいものを作るときに、自分の「おいしい」を作るのか、人の「おいしい」を作るのか、どちらか知ることが大切です。そして、人のためならアジャイル的な進め方に分があります。