体験型サービスと非体験型サービス

デザインシンキングやアジャイルのコンテキストで、顧客起点だとか人間中心設計という言葉をたびたび耳にします。アジャイルではモノ以上に成果を重視しますから、成果物の先にいる利用者に注目しようということです。

今回は、利用者に注目する際、対象となるドメインが体験型サービスなのか、あるいは非体験型サービスなのかをチェックしようというものです。

体験型サービスとは、画一的なサービスではなく、よりパーソナルで自分好みのサービス内容であるほど満足度があがるようなサービスのことを指します。例えば、行きつけのレストランで厨房の奥からシェフが出てきて、「今日はおいしいサーモンが手に入ったから、クリームソースでパスタはファルファッレで食べてほしい」という提案があるようなケースです。クリームソースが好きな客であることを知っていて、こんなスペシャルな提案を受けるとうれしいものです。

一方、非体験型サービスとは、サービス内容が固定化しており体験が画一化しているケースです。例えばガソリンスタンドでの給油サービス。ガソリンの種類はいくつかありますが、選んで満タンにするだけです。客としてもパーソナルに名前を呼んでもらってサービスしてほしいとは思いません。処理がスピーディーで正確であれば満足なのです。

同様に、吉野家やマクドナルドで食事する際も「今日はおいしい牛肉がありますよ!」と言われなくてもかまいません。食べるのは牛丼、ハンバーガーと決まっています。サービス内容が固定化しており体験が画一化している場合、サービスはスピードと正確さが求められます。パーソナルである必要はなく、特別な会話だとか店主や料理人との関係性は煩わしいものになります。

プロダクトドメインが体験型であればあるほど、パーソナルで「私だけ」と感じるサービスが刺さります。顧客の満足のツボが体験型と非体験型のサービスでは異なるのです。顧客起点という前に、今扱っているドメインが体験型なのか非体験型なのかチェックしてみてください。どっちつかずなら、体験をリッチにしていくことで体験型にシフトするのか、あるいは体験を画一化していくことでスピードと安定性を突き詰めるのか。体験型は利幅は大きくなりますが、オペレーションは複雑になります。パーソナルなサービスですから、サービス提供側の感度と創造性が求められます。非体験型はオペレーションはシンプルになりますが、利幅は薄く回転率で稼ぐことが求められます。