スクラムガイドが新しくなりました。前バージョンは2017年11月版でしたので、3年ぶりに刷新されました。
表紙からシンプルになっています。
- Ken Schewaber氏とJeff Sutherland氏の写真とサインがなくなった
- 「スクラムガイド」の見出しが中央に移動
- スクラムの生みの親である両氏の名前が上に移動。かつ、名前をつなぐ”and”が”&”に変更
- 上下の波系のデザインがなくなり更にすっきりと
前バージョンの表紙もビジーではありませんでしたが、最新版は更にシンプルになりました。
一枚めくると、前バージョンでは「目次」でしたが、新バージョンでは「スクラムガイドの目的」になっています。すべての活動には目的があり、新スクラムガイドが謳っている通りゴールから始めるスタンスがが伺えます。
目次からは「スクラムの用途」が消えています。これは冒頭の目的ページで、「ソフトウェアプロダクト開発の領域を超えて、スクラムがあらゆるドメインで採用されている」という文句に含まれているのでしょう。
また「作成物の透明性」も目次から消えています。
前バージョンで15ページあったガイドが新バージョンでは13ページなりました。
スクラムチームを構成するロールの一つ「開発チーム」が新バージョンでは「開発者」になったことはわかりやすくなった改善点の一つですが、並びも変更しています。
並び順 | 前バージョン | 新バージョン |
① | プロダクトオーナー | 開発者 |
② | 開発チーム | プロダクトオーナー |
③ | スクラムマスター | スクラムマスター |
3つのロールはすべて重要ですが、とりわけ開発者が主役であると私は読みます。POやSMの力を借りながらも、開発者が自己管理し、能力を開花することでプロダクトのもたらす成果が最大化されるのだと考えます。
「スクラムの定義」から「理解が容易」「習得は困難」が消えました。アジャイルでは学びと成長を前提とし、常に高みを目指すことを求めますから、スクラムを習得した状態はありません。日々ベターバージョンを突き詰めていくことがアジャイルやスクラムを実践するものとしてあるべき姿になります。
「スクラムの理論」から「経験的プロセス制御の理論」が消えました。経験主義と同じ文脈で語られていましたが、長いわりにピンときませんでしたので、よい改善だと思います。
前バージョンでは「反復的かつ漸進的な手法を用いて、予測可能性の最適化とリスクの管理を行う」とありました。新バージョンでは「予測可能性を最適化してリスクを制御するために、イテレーティブ(反復的)でインクリメンタル(漸進的)なアプローチを採用している」です。あえてカタカナでイテレーティブとインクリメンタルを追加していることで理解が深まるのかわかりませんが、イテレーティブ開発とインクリメンタル開発をごっちゃにされているケースがあり、区別しやすくなったのはよい点だと思います。
スクラムガイドは13ページにコンパクトになりましたが、じっくり読むといろいろな気づきがもらえます。次回はスクラムを支える3本柱やスクラムの価値基準についても見ていきたいと思います。