プロダクトをソリッドにするエクストリームユーザーの存在

エクストリームユーザー(エクストリームキャラクター)をご存じでしょうか。その名の通り極端なユーザーのことで、プロダクトの主たるユーザーでない利用者のことです。エブリデイユーザーの真逆にあたり、プロダクトのターゲット層の圏外に位置する人たちです。

デザインシンキングではペルソナを設定し、ターゲットとする利用者像を具体化し、彼らのペインポイントに噛み合わせたソリューションを構築します。製品・サービスを使うのは人ですから、利用者である主要顧客層をどんどん具体化し、寄り添うソリューションを届けます。

エクストリームユーザーはこのメインストリームユーザーからはみ出した層ですが、彼らの話を聞いたり、プロダクトの使い方を観察することで新たなインサイトが得られたり、思考をジャンプすることができます。

例えば、ハイエンドな自動車。フェラーリやベントレーの主要顧客は30代~50代の男性です。若いオーナーへのシフトも進んでおり、20代オーナーも増えています。そして、このケースでのエクストリームユーザーは70代の男性だとか、赤ちゃんのいる主婦になります。フェラーリが積極的にマーケティングするユーザー像ではないのがポイントです。

70代男性にとって、フェラーリのコックピットは低すぎるかもしれません。まず乗り込む際、車高が低いので、どすんとしりもち状態になります。取っ手になるホールドがあると安心です。車内に杖を置くスペースがあると更によいかもしれません。

これらは、ドライバーがパートナーと一緒に乗る際、取っ手があるとハイヒールの女性が安心して乗り込めることに繋がります。そして濡れた傘を格納する場所があれば、手にもったまま洋服が汚れることを防ぎ、より快適なドライブが楽しめることになります。

また、赤ちゃん連れの主婦がフェラーリを運転する際、エンジン始動時の爆音は子供を起こしてしまう心配があります。そのため、音の調整ができると安心してフェラーリで移動できることに繋がります。

これは、医師が自分の病院から自宅に帰る際、病院の駐車場でフェラーリの爆音を響かせたくないニーズがあるかもしれません。そして、朝自宅を出発する際も閑静な住宅街でフェラーリの始動が気になっているかもしれません。

このようにエクストリームユーザーのインプットがメインストリームユーザーに対しても重要な気づきになることがあります。

プロダクトをソリッドにするために、メインのペルソナを掘ることに加え、エクストリームユーザーのインプットも積極的に取り入れてみてください。