アジャイルチームが自走するために必要なのは実力だけではありません。チームの周りのステークホルダーが見守ってくれる寛大な態度も不可欠です。そして寛大な態度はチームに対する信頼から生まれます。
組織のマネジメントやサポートファンクションは不安になると口をはさみたくなります。ステークホルダーを不安にさせないためには、チームと作業の状況を100%開示していくことが必要です。とはいえ、状況をストレートに見える化していくことは理解を妨げたり、かえって不安を募らせてしまうこともあります。そこで、組織の上位マネジメントやプロジェクトスポンサーにはひと手間加えた「見せる化」が必要になります。「見せる化」は一次情報を変えることではありません。一次情報をマネジメントにもわかりやすいようにひと手間加えることです。
チームの情報ラジエーターはチームが作業しやすいように最適化されています。それらはチームの検査と適応には最適ですが、マネジメントの判断と決定には細かすぎることがあります。マネジメントにはマネジメントの視点と判断基準があります。そのため、同じ情報でもマネジメントが理解しやすいような項目と形式で表現することが必要です。マネジメントにはプロダクトロードマップを基準にお話ししたほうがご理解してもらいやすいですし、スプリントバーンダウンではなくリリースバーンダウンを示して語るほうが共感を得やすいです。
チームには「見える化」で済みますが、組織のマネジメントにはひと手間加えた「見せる化」が必要です。そして、「見える化」と「見せる化」がそろってこそアジャイルチームは自走できるようになります。