インタビュー・観察・ドッグフィーディング

顧客や消費者に共感し、寄り添うソリューションを提供するアプローチに、インタビュー、行動観察、そしてドッグフィーディングがあります。

ドッグフィーディングとは、開発中の自社製品を実際に使ってみることです。最終的に顧客・消費者に届けますが、その前に自分で使ってみて改善します。私は大学時代にペットショップでアルバイトしていました。その会社ではペットフードも積極的に開発していて、ドッグフードも実際に食べて食感や味わいを研究していました。まさにドッグフィーディングそのものです。いろいろな種類を試食しましたが、どれも無臭で、味はなく、ぱさぱさしていておいしいとは思えません。犬になりきって味わえといわれたものの、大学生の私にはその意味がよくわかりませんでした。

販売店の店長も犬が大好きな方で、犬のように四つん這いになってクンクンしたり、床に寝そべったりされていることもありました。相手が犬ではインタビューできませんから、主体的にドッグフィーディングしていく必要があります。自分が人間であるという違いはわきに置いておいて、犬を知るために犬になりきることを実践されていました。

アジャイルなプロダクト制作では、対象となるカスタマーの気持ちになることがポイントになります。女性も使うプロダクトなら、女性の視点も欠かせません。ユニセックスの商品なのに、制作担当者が99%男性の企業も見かけます。もったいないことです。女性の登用が難しいなら、男性でもメイクをしてスカートをはいて、その製品を使ってみることです。外見だけでも女性をまねることで少しは女性の気持ちに近づけます。

重要なことは、机の上でネットサーフィンしてわかった気にならず、顧客や消費者になりきって実際にやってみることです。プロトタイプを使ってみることです。そして自分の気づきをフィードバックすることです。100%顧客の気持ちになれる訳ではありませんが、なりきることで多くの足りないものが見えてきます。そして製品をよりよいものにすることができます。