ユーザー体験とカスタマー体験、同義に語られることも多いですが、私は点と線で考えています。
例えば、温泉での入浴体験。駐車場に車を止めてから、次の要領で進みます。
- 入口で消毒する
- 靴をぬいで下駄箱にいれる
- 入場券を買う
- ロッカーのカギをもらう
- 服を脱いでロッカーに収める
- 入浴する
上記それぞれはユーザー体験です。
入口での消毒は足で押せるタイプなのか手で押すタイプなのかにより、体験が変わります。神経質な人ですと足で押すと噴射されるタイプの方がうれしいですよね。
入場券を買う際も、ベンディングマシーンのボタンの配置が見やすいか。大人と子供分をまとめて買えるか。現金以外でも買えるか、いろんな要素がありそれがユーザー体験を決定します。
消毒のステップや、入場券を買うステップ等の様々なユーザー体験を集めたものがカスタマー体験になります。点を集めた線がカスタマー体験です。先の支払い方法では現金以外にも、カードやポイントカード、前売り券なども使えればユーザー体験はよりリッチになります。お客様の志向にあった多様な選択肢があるということで点の集合とも考えられます。したがって、点と点をつなぐ線であるだけでなく、一部の線は太い線(点の集合体)になり、ゆくゆくは面になると考えられます。
個々のユーザー体験を作り、それらをつなげたカスタマー体験を作り、更にオプションを増やして面にしていきます。
一般にカスタマー体験で印象に残るのは最後のユーザー体験、そして困ったユーザー体験といわれます。個々のユーザー体験がデコボコしていないか、なめらかな統一感のある体験になっているかチェックします。そして最後のユーザー体験をしっかり作ることで全体としてのカスタマー体験が好ましいものになります。
具体的にはカスタマージャーニーマップを使って、お客様がたどるステップを可視化し、感情曲線をプラスして大きく下げている部分(ペインポイント)を特定します。ペインを解消するために何が足りないかをアイデア出しして、ソリューションを作っていきます。そしてカスタマーリサーチを通して検証していきます。
いかに優れていてもユーザー体験だけでは部分最適になります。全体を俯瞰して好ましいカスタマー体験になっているかチェックしたいものです。