アジャイルの見積りが相対見積りな理由

プロダクトの要求を見積る際は、相対見積りで行う。

相対見積りにはいくつかある。

  • Tシャツサイジング
  • プランニングポーカー(ポーカープランニング)
  • 動物ポイント
  • ドッグポイント
  • フルーツポイント

見積り尺度として何を使うかは、スクラムチームで決めればいい。

重要な事は「相対見積り」ということだ。

なぜ相対見積りなのか?

理由は3つある。

  1. 正確
  2. 合意形成しやすい
  3. スピーディー

順番にみていこう。

相対見積りは「正確」である。

例えば、野球の本塁ベースから1塁ベースまでの距離を1ポイントとする。
1塁ベースから2塁ベースまでは、何ポイントだろうか?

1ポイントであろう。

基本的に、2塁から3塁も、そして3塁から本塁も、全て1ポイントになるはずだ。
(2塁ベースはベースを置く向きが異なるので、厳密には距離は異なる)

実際、本塁から1塁までは90フィート(27.432メートル)離れているのだが、そんなことを知らなくても、全て1ポイントだとわかる。

リンゴが1ポイントなら、グレープフルーツも1ポイントだろう。大きさは、ほぼ同じだ。

「相対見積」の基準となっているのは「距離」や「サイズ」である。なぜなら、距離やサイズは誰が見積っても同じだから。

これを、絶対時間(所要時間)で見積ると、ややこしくなる。

先のリンゴのケースでは好き嫌いもあるから、完食までにかかる時間は異なる。食べ方だって違う。リンゴをシャツでこすってムシャムシャ食べる人もいれば、綺麗に皮をむいて、一口サイズにカットしないと食べられない人もいる。リンゴひとつでも、食べるアプローチが違うから、所要時間で見積ると大きな差がでる。

先の野球でも、時間だとみんな違う。走力が違うから当たり前と言えるが、プロ野球選手でも走る時間は様々だろう。距離なら誰が見ても27メートル少々だが、所要時間は異なる。

開発にかかる絶対時間で見積ると、個々の主観が介入して、見積り精度が絶望的に低下する。。所要時間ではなく、単純に大きさや距離で測る。

基準となる大きさや距離を決めて、その基準を軸に、相対的に比較することが人間は得意だ。

相対見積りは「合意形成しやすい」。

ある見積りをベースライン化して、それを基準に見積るから客観的になる。
基準がない状態で、各人が所要時間で見積ると合意形成がはかどらない。

フルマラソンが1ポイントなら、ハーフマラソンは1/2ポイントである。

100メートル走が1ポイントなら、200メートル走は2ポイントである。
基準がないまま、100メートル走りきる所要時間を見積っても、13秒やら16秒やら、永遠に平行線だ。。

距離やサイズなどの規模で計れば合意形成しやすい、そして他のものを相対見積りすれば「スピーディー」だ。

ある基準を設けて見積るから、個人の主観が入る余地がない。
東京・名古屋間は300㎞、東京・大阪間はおおよそ500㎞だ。東京・名古屋間が3ポイントなら、東京・大阪間は5ポイントである。誰が見ても異論はないだろう。

実際の所要時間は関係ない。
東京・大阪間を1回の休憩で、ほぼノンストップでぶっ飛ばす人もいるだろうし、のんびり80㎞走行で、サービスエリアで食事したりおしゃべりしたりして、丸1日かけて移動する人もいるだろう。

50㎡のスタジオタイプが2ポイントなら、200㎡の3LDKは8ポイントである(200÷50=4)。
実際、50㎡の部屋の清掃に1時間かける人もいれば、5分で終える人もいる。所要時間で見積るには、何をどこまで行うか、清掃内容まで踏み込んで会話しないといけないが、規模による相対見積りなら、広さで素早く見積もれる。

相対見積りなら、

  1. 正確
  2. 合意形成しやすい
  3. スピーディー

プロダクト構築の初期段階では、プロダクトの情報、顧客ニーズ共に不十分である。

そんな中、ムリに前提条件を置いて、タスクを洗い出して、所要時間で見積っても意味がない。要求は変わり、見積りに費やした時間はムダになる。

それより、スピード重視で、プロダクトの要求(バックログ)を規模で相対的に見積ろう。そして、スプリントを回しながらベロシティを学び、プロダクトバックログを最新化しながら、アジャイルなプランニングを繰り返していこう。

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