アジャイルユーザーストーリーを分解する5つの方法

スクラムでは1~4週間で、出荷判断可能なインクリメントまで作り上げます。

世界の標準は2週間。最近は、1週間スプリントを採用する企業も増えてきました。

スプリント期間が短くなれば、それだけ作業できる絶対時間は少なくなりますから、実装単位であるユーザーストーリーも細分化しなくてはなりません。

今回は、ユーザーストーリーをどのような切り口で細分化するのか、その代表的な方法を見ていきましょう。

私が通常使う代表的な切り口は以下の5つです。

  1. ワークフロー・CRUD
  2. ビジネスルール
  3. ハッピーフローと不備フロー
  4. 役割
  5. 入り口タイプ

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では、順番に見ていきましょう。

ワークフロー

ワークフローは、作業を塊で見ます。

例えば、カタログショッピング。商品を探して、選んで、申し込んで、支払って、最終的に商品を手にします。
それぞれが、ユーザーストーリーになります。

  • 商品「検索」のストーリー
  • 商品「選択」のストーリー
  • 商品「申込」のストーリー
  • 商品「支払い」のストーリー
  • 商品「受取り」のストーリー

今まで商品のカタログ冊子を送っていたのを、ウェブ上で閲覧できるようにする。後続のプロセスがまだ構築されていなければ、注文自体はコールセンター経由ですることになります。
ウェブ上での注文機能は、将来のスプリントで実装することになるでしょう。

また、CRUD(クラッド)は以下の略です。

  • Create
  • Read
  • Update
  • Delete

最初に「登録」ユーザーストーリー、次に「参照」ユーザーストーリー、そして「更新」ユーザーストーリー、最後に「削除」ユーザーストーリーになります。
類似例で、「表示」「非表示」のユーザーストーリーをつくったりもします。

ビジネスルール

ビジネスルールは、業界や組織のルール毎にユーザーストーリーを切るパターンです。

  • 新規申込の際には、本人確認のため免許証のコピーを取得する
  • 預金残高10万円未満は、口座利用料として毎月540円を徴収する
  • 都内は送料無料。北海道、沖縄は特別料金がかかる
  • 合計1,000円未満のショッピングについては、一律200円の梱包手数料を徴収する

ビジネスルールのバリエーション毎に、ユーザーストーリーを作成していきます。

ハッピーフローと不備フロー

これは、全てが正確なスムース・フローと、不備があり、プロセスが逆流するフローを切り分けて、ストーリー化する方法です。

通常、全てがスムースに運ぶ「ハッピーフロー」から始めます。

似たような発想に、幹となるボディープロセスから取りかかる方法もあります。ボディープロセス完成後、枝葉のバリエーションを追加していきます。枝葉のバリエーション毎にユーザーストーリーをインクリメンタルに作成していきます。

役割

製品・サービスの利用者単位でユーザーストーリーを作成する方法です。

  • 顧客
  • 一般ユーザー
  • アドミニストレーター・管理者
  • 承認者(マネージャー)
  • 内部利用者・外部利用者
  • 個人・法人
  • 銀行用・証券用・保険用

顧客にしても、航空業界なら以下に細分化される。

  • ファーストクラス
  • ビジネスクラス
  • プレミアムエコノミー
  • エコノミー

利用者により、サービス内容もクオリティー(受入基準)も異なるから、役割タイプ毎にユーザーストーリーを切っていく。

入り口タイプ

入り口タイプとは、どのように注文や申込が入ってくるかでストーリー化する方法だ。
大別すると、「紙」か「データ」がある。

データにしても、デバイスで見る方法がある。

  • 携帯電話(iphoneかアンドロイドで分けられることも)
  • タブレット
  • デスクトップ
  • サービス会社が提供する端末のタッチパネル(個人の端末と区別して)

アナログなのか、デジタルなのか。
デジタルなら、デバイスはなんなのか。
デバイスや扱うデータ・タイプにより、後続処理が変わるならその単位でストーリーを切る。

最近は、ブラウザー事にストーリーを切ることも増えている。

  • Internet Exploler
  • Chrome
  • Firefox
  • Edge
  • Safari

いかがだっただろうか。

ユーザーストーリーの切り方は、こうしなくてはならないというルールはない。スクラムガイドでも具体的な説明はない。だから、置かれた状況の中で、最適な切り口を探して、適用すればいい。

スプリントは世界的に短縮化の傾向にあり、スプリント内で実装するストーリー数も増える傾向にある。
ストーリー数が多ければ、成果が安定するから、ベロシティも計りやすくなるし、将来的なリリース計画も立てやすくなる。

だから、ユーザーストーリーを細かく分解できるスキルはとても重要だ。
ユーザーストーリーの分割、是非お試しあれ!

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