スクラムでは1~4週間で、出荷判断可能なインクリメントまで作り上げます。
世界の標準は2週間。最近は、1週間スプリントを採用する企業も増えてきました。
スプリント期間が短くなれば、それだけ作業できる絶対時間は少なくなりますから、実装単位であるユーザーストーリーも細分化しなくてはなりません。
今回は、ユーザーストーリーをどのような切り口で細分化するのか、その代表的な方法を見ていきましょう。
私が通常使う代表的な切り口は以下の5つです。
- ワークフロー・CRUD
- ビジネスルール
- ハッピーフローと不備フロー
- 役割
- 入り口タイプ
ワークフロー
ワークフローは、作業を塊で見ます。
例えば、カタログショッピング。商品を探して、選んで、申し込んで、支払って、最終的に商品を手にします。
それぞれが、ユーザーストーリーになります。
- 商品「検索」のストーリー
- 商品「選択」のストーリー
- 商品「申込」のストーリー
- 商品「支払い」のストーリー
- 商品「受取り」のストーリー
今まで商品のカタログ冊子を送っていたのを、ウェブ上で閲覧できるようにする。後続のプロセスがまだ構築されていなければ、注文自体はコールセンター経由ですることになります。
ウェブ上での注文機能は、将来のスプリントで実装することになるでしょう。
また、CRUD(クラッド)は以下の略です。
- Create
- Read
- Update
- Delete
最初に「登録」ユーザーストーリー、次に「参照」ユーザーストーリー、そして「更新」ユーザーストーリー、最後に「削除」ユーザーストーリーになります。
類似例で、「表示」「非表示」のユーザーストーリーをつくったりもします。
ビジネスルール
ビジネスルールは、業界や組織のルール毎にユーザーストーリーを切るパターンです。
- 新規申込の際には、本人確認のため免許証のコピーを取得する
- 預金残高10万円未満は、口座利用料として毎月540円を徴収する
- 都内は送料無料。北海道、沖縄は特別料金がかかる
- 合計1,000円未満のショッピングについては、一律200円の梱包手数料を徴収する
ビジネスルールのバリエーション毎に、ユーザーストーリーを作成していきます。
ハッピーフローと不備フロー
これは、全てが正確なスムース・フローと、不備があり、プロセスが逆流するフローを切り分けて、ストーリー化する方法です。
通常、全てがスムースに運ぶ「ハッピーフロー」から始めます。
似たような発想に、幹となるボディープロセスから取りかかる方法もあります。ボディープロセス完成後、枝葉のバリエーションを追加していきます。枝葉のバリエーション毎にユーザーストーリーをインクリメンタルに作成していきます。
役割
製品・サービスの利用者単位でユーザーストーリーを作成する方法です。
- 顧客
- 一般ユーザー
- アドミニストレーター・管理者
- 承認者(マネージャー)
- 内部利用者・外部利用者
- 個人・法人
- 銀行用・証券用・保険用
顧客にしても、航空業界なら以下に細分化される。
- ファーストクラス
- ビジネスクラス
- プレミアムエコノミー
- エコノミー
利用者により、サービス内容もクオリティー(受入基準)も異なるから、役割タイプ毎にユーザーストーリーを切っていく。
入り口タイプ
入り口タイプとは、どのように注文や申込が入ってくるかでストーリー化する方法だ。
大別すると、「紙」か「データ」がある。
データにしても、デバイスで見る方法がある。
- 携帯電話(iphoneかアンドロイドで分けられることも)
- タブレット
- デスクトップ
- サービス会社が提供する端末のタッチパネル(個人の端末と区別して)
アナログなのか、デジタルなのか。
デジタルなら、デバイスはなんなのか。
デバイスや扱うデータ・タイプにより、後続処理が変わるならその単位でストーリーを切る。
最近は、ブラウザー事にストーリーを切ることも増えている。
- Internet Exploler
- Chrome
- Firefox
- Edge
- Safari
いかがだっただろうか。
ユーザーストーリーの切り方は、こうしなくてはならないというルールはない。スクラムガイドでも具体的な説明はない。だから、置かれた状況の中で、最適な切り口を探して、適用すればいい。
スプリントは世界的に短縮化の傾向にあり、スプリント内で実装するストーリー数も増える傾向にある。
ストーリー数が多ければ、成果が安定するから、ベロシティも計りやすくなるし、将来的なリリース計画も立てやすくなる。
だから、ユーザーストーリーを細かく分解できるスキルはとても重要だ。
ユーザーストーリーの分割、是非お試しあれ!
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