SAFeのプログラムインクリメントプランニングでは、8週間~12週間の全体計画を策定する。PIプランニングは通常2日間のプランニングイベントだ。世界で最もポピュラーな反復期間は2週間だから、通常4反復~6反復分の計画をつくることになる。
そして、最後の反復は特殊な反復である。「イノベーションと計画策定反復」と呼ばれ、複数の目的を達成するために存在する。最後の反復は、通常の実装反復とは区別されている。
「イノベーションと計画策定反復」の過ごし方:
- フルソリューションの統合、検証、妥当性確認
- リリース文書作成(フルソリューションを最後にリリースする場合)
- イノベーション、調査、ハッカソン
- PIシステムデモを含む、検査と適応ワークショップ
- プログラムとチームのバックログ詳細化(来るPIプランニングイベントに向けて)
- 技術的なインフラ、ツール、その他のシステムへの障害への取り組み
- 継続的な学習、チームのバッテリーを充電し、道具を研ぐ時間
- 次のPIプランニングイベントの実施
- PI目標を満たすための残作業の実施(バッファーとしての役割)
- 仕事の満足度を高めるふりかえり
学生であれば春休み、夏休み、冬休みがある。社会人であれば、正月、ゴールデンウィーク、お盆があるが、この特別な期間に普段できないことをする概念と同じだ。SAFeでは2~3ヶ月毎に、プランニングを繰り返すが、最後の反復は「イノベーションと計画策定反復」になる。
私は、この特別な期間をどのように過ごすかは、プログラムとチームで決めればよいと考えている。大半をハッカソンや学習にあてるチームもいれば、通常の実装反復と同じように過ごすチームもいる。
通常の実装反復と同様な過ごし方には、更に2つのパターンがある。
- 普段の反復に、技術的負債の返済、リファクタリング、学習の要素を継続的に含めており、最後の反復も同じリズムで実装を繰り返すチーム(私はコレが本来のアジャイルなチームと思っている)。
- 普段の反復でやり残した作業を消化する実装期間。当初予定していたスコープ(バックログ)をやりきるのは計画駆動なフェーズゲートの進め方だ。SAFeがアジャイルではないと揶揄される理由の1つだが、組織が計画したスコープ全量をデリバリすることを期待する場合、このようにふるまうチームが増えることになる。
一定のリズムで、いずれの反復でも価値あるインクリメントを継続的にデリバリすることが重要だ。一方で、ハッカソンなど数日~1週間かけて行う活動は通常の反復に収まらないこともある。「イノベーションと計画策定反復」はそんなニーズにぴったりだ。
ハッカソンで得られた洞察は、プロダクトバックログにフィードされ、プロダクトのイノベーションを推進する。
年に数回、特別な反復期間を設けてイノベーティブなプロダクト制作を支援してみてはいかがだろうか。
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