自走するチームは、なぜ「責任」と「結果コミット」を恐れないのか
――ワーキングアグリーメントが生み出す実行力の正体

はじめに:
「自走してほしい」と言った瞬間、チームは止まり始める
多くの組織でこんな言葉が使われます。
- 「もっと自走してほしい」
- 「主体性を持って動いてほしい」
- 「結果にコミットしてほしい」
しかし現実には、
自走を求めるほど、責任が曖昧になり、結果から遠ざかる
という逆説が起きがちです。
なぜでしょうか。
結論から言うと、
**自走・責任・結果コミットは、個人の姿勢ではなく“チームの設計問題”**だからです。
自走とは「勝手に動くこと」ではない
まず誤解を解きます。
❌ よくある誤解
- 自走=指示がなくても各自が判断する
- 自走=優秀な個人が頑張る
- 自走=マネジメントが介入しない
✅ 実際の自走
共通の判断軸を持ち、
迷わず、止まらず、やり切れる状態
自走とは自由ではありません。
むしろ**「制約が明確」な状態**です。
責任が重くなると、チームはなぜ止まるのか
「責任を持て」と言われた瞬間、
人は無意識にこう考えます。
- 失敗したら誰が責められる?
- 判断を間違えたらどうなる?
- どこまでが自分の責任?
つまり、責任の境界が不明確なのです。
この状態で「結果にコミットしろ」と言われると、
- 無難な選択しかしない
- 決定を先送りする
- 上司確認が増える
結果として、
自走とは真逆の行動が生まれます。
結果コミットは「気合」では成立しない
結果コミットとは何でしょうか。
それは
結果が出る行動を、やり切ることへの合意
です。
重要なのは、
- 結果そのものではなく
- 結果につながる行動にコミットすること
個人にこれを求めるのは無理があります。
だからこそ必要なのが、チームとしての合意です。
ワーキングアグリーメントの本当の役割
ワーキングアグリーメント(Working Agreement)は、
単なる「チームのルール」ではありません。
本質はこれです。
迷い・責任・判断を
事前にチームで引き受けておく仕組み
結果にコミットするワーキングアグリーメントの構造
形だけのアグリーメントは機能しません。
結果に効くのは、次の4点を含むものです。
① 何にコミットするのか(結果)
- 今期・今スプリントで最優先する成果は何か
- 他を犠牲にしても守る指標は何か
例:
- 「今スプリントは“品質”を最優先する」
- 「リードタイム短縮が唯一の成功指標」
② 結果につながる行動(必ずやること)
個人タスクではなく、チーム行動として定義します。
例:
- PRは必ず2人レビュー
- リリース前に5分のリスク確認
- 障害は24時間以内に共有・振り返り
③ 迷ったときの判断軸
ここが自走の核心です。
例:
- 「迷ったらスピードより安定」
- 「顧客影響を最優先する」
👉 これがあると、上司確認が激減します。
④ 未達時の扱い方(責任の置き場所)
結果コミットを壊す最大要因がここです。
例:
- 未達は個人を責めない
- 原因はプロセスに置く
- 次の行動を必ず1つ決める
自走するチームに起きる変化
この設計が入ると、次の変化が起きます。
- 指示待ちが減る
- 決定が早くなる
- 失敗の共有が早くなる
- 結果レビューが前向きになる
なぜか。
責任を「個人」から「チームの約束」に移しているからです。
まとめ:
自走・責任・結果コミットはセットで設計せよ
最後に一文でまとめます。
**自走とは自由ではない。
責任とは押し付けではない。
結果コミットとは覚悟ではない。それらはすべて、
ワーキングアグリーメントという
“チームの設計”から生まれる。**