プリンスの資格更新について、最近問い合わせが多いので書いておこう。
Prince2は言わずと知れた英国のプロジェクトマネジメントフレームワークだ。
資格試験としては3種類ある。
- ファンデーション
- プラクティショナー
- プロフェッショナル
3つめのプロフェッショナルはやや特殊だ。2.5日の資格試験である。研修期間ではなく、試験期間が2.5日である。初日の夕方にケーススタディを渡され、その後2日間でグループワークと、個別面談がある。プロジェクトマネジメントの知識のみならず、インターパーソナルスキルも評価の対象となる。プラクティショナー資格取得後、数年(最低1年)の実務経験を経て、申し込むことができる。プラクティショナーより箔を付けたい人が希望する資格だが、一般に普及しているとは言えないし、ややマニアックな資格なのでここでは割愛する。
一般的にプリンスと言えば、最初の2つ。すなわち、ファンデーションとプラクティショナーである。
ファンデーションに更新はない。一度取得すれば永久に有効だ。だから、一生涯ついてくるありがたい資格である。
プラクティショナーは更新試験がある。厳密には、資格自体は有効だが、アクティブな実践者として名刺に書き続けるには更新が必要になる。英語で、”Registered Prince2 Practitioner” のステータスを維持するには必要だ。
一時はやった米国公認会計士と同じである。アクティブであるためには、継続的にライセンスをアップデートしていかなくてはならない。
プラクティショナーの有効期限は5年だ。3年経過後から5年満了までに更新試験を受ければ、途切れることなくプリンスの実践者ステータスを維持できる。
更新試験は初回の試験に比べて軽量だ。
初回試験:
大問8つ。 各10問。
80問中44問の正解で合格(55%)
試験時間: 150分(2時間半)
更新試験:
大問3つ。 各10問。
30問中17問の正解で合格(55%)
試験時間: 60分(1時間)
初回・更新試験共にオープンブック方式だからプリンスのマニュアルは試験会場に持ち込み可能だ。
シナリオを読んで答えを選ぶ選択式である。2018年4月時点では更新試験に日本語版はないが、選択式だか
ら外国人には解答しやすい。現時点で日本語化の話はないが、連絡が来たらお知らせしたい。
もし、プラクティショナーの期限が切れてしまったらどうなるか。
5年経過後でも再試験は受験可能だ。そして合格すればアクティブステータスを復活できる。だから、名刺にもプリンス実践者として記載可能だ。
5年毎に更新試験を受けるのは面倒だと思うかもしれないが、重要なことだ。
変化の速い世の中だから、プロジェクトマネジメントの仕方もどんどん進化している。現行のプリンスマニュアルは2017年版だ。前の2009年版と比べて、より柔軟な記載になっているし、アジャイル版プリンスの筆者であるキースリチャーズ氏が執筆チームに加わったことで、アジャイルに関する記述も増えている。
同じサイクルだとすると、次の更新版が出るのは2025年前後になると思うが、我々も常にアップデートしていくことが必要だ。
一度取ったら永久に有効なのは安心だが、決して健全なことではないだろう。プロジェクトマネジメントの実践者として、常に価値あるサービスを提供するために、我々自身も定期的にアップデートしていかなくてはならない。
最後にもう一つ。
プリンスのファンデーションであれ、プラクティショナーであれ、初めて受ける場合も更新で受ける場合も試験単体で受験可能だ。かつては研修を受けないと受験資格が得られなかったが、いまは試験だけでも受けられる。PMP取得者などプロジェクトに詳しい人は、いきなり試験から初めても構わない。試験だけなら、10分の1くらいのコストで受けられるから、腕に覚えのある人は是非トライしていただきたい。
プリンスはPMPよりも守備範囲は広いから、いい補強になるだろう。
それに、英国を含む欧州の会社で働くなら是非持っておきたい資格だ。
ヨーロッパやオーストラリアでのプリンスの評価は絶大である。
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Prince2 2017 Certification Foundation and Practitioner Guidebook (English Edition) |