プロダクトの圧倒的差別化フレームワーク:狩野モデル

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プロダクトを世に送り出す。そう簡単なことではない。

多くの試行錯誤、調査、分析、調整。。だが、どのようにしてプロダクトができたか、その過程に顧客は興味がない。

顧客にとって、目の前の完成品だけが意味をもつ。評価軸は「完成品」だ。

作り手がどれだけ苦労したとか、企業がいくら投資したとか、何人の人が関わったとか、どんな革新的なテクノロジーが使われたか、どれだけ時間をかけて開発したとか、そんなことは関係ないのである。

だから、うんうん額に汗して作るなら、意味あることに汗をかかないと損だ。意味あることとは、顧客の価値を創造する作業に、焦点を当てることである。

では、顧客が価値を認めるポイントを、どうやって特定すればいいのだろう。

顧客と直接対話する、アンケートを取る、フィールドワークを実施する、顧客データを分析する、営業マンやコールセンター・スタッフの背後から観察する等、方法はいろいろある。

今回紹介するのは、アンケート方式のフレームワーク「狩野モデル」である。

下の図を見て欲しい。

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どのような機能やサービスが飛び抜けて喜ばれるのか、それを探る方法だ。一般的に、機能は少ないより多い方がありがたいし、サービスだってたくさんある方がよろこばれる。だからと言って、たくさんつくっていくとお金がかかるから、なにが訴求効果があるのか分析し、顧客にとってのアピールポイントを選び抜かなくてはならない。

狩野モデルは、機能・サービスの中で、提供すると熱狂的に喜ばれるポイントを探し当てるフレームワークである。

例えば、あなたが温泉旅館に宿泊するとしよう。

質問はこんな感じだ。
① お部屋に無料のミネラルウォーターがあったらどう思いますか?
② お部屋に無料のコーヒー・お茶があったらどう思いますか?
③ お部屋に入るとウェルカムシャンパンと苺のサービスがあったらどう思いますか?
④ お部屋に無料のWi-Fiサービスがあったらどう思いますか?
⑤ お部屋に露天風呂があったらどう思いますか?

通常5つのパターンで回答する。
① めちゃくちゃ嬉しい!
② それって当然でしょ!
③ どっちでもいいし。。
④ しかたないかな。
⑤ 迷惑・困る!

質問は、反対に「ない」パターンでもよい。
①なら、お部屋に無料のミネラルウォーターがなかったらどう思いますか?

狩野モデルは、ターゲットとする顧客が「魅力的と感じる機能やサービス」、または「絶対に外してはならない機能やサービス」を特定するフレームワークだ。

様々な方法でプロダクトの機能や・サービスの絞り込みをする訳だが、それでも必ず売れるとは限らない。

蒸留酒のように、ぎりぎりまで雑味を取り除き、無駄を削ぎ落とし、究極の機能・サービスまで絞り込んだら、速やかにリリースする。
その間、マーケットや競合他社の動向を見ながらの状態は続く。

晴れて、導入までたどり着いたら、イノベーターやアーリーアダプターのフィードバックを取り入れながら、プロダクトを継続的にアップデートしていく。

顧客は製品・サービスを手に取ると、具体的なフィードバックを提供してくれる。

プロダクトマネジメントの要諦は、凡庸な機能は極限まで剥がしスリム化する。その上で、圧倒的差別化に繋がる機能をひとつ充当する。

そして、製品・サービスの独自性と希少価値を維持すべく、継続的に顧客フィードバックを取り込み、プロダクトを進化させていくことなのである。

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