ベロシティを生産性と言ってはいけない理由

アジャイル界隈では言い古された感がありますが、ベロシティを生産性と言ってはいけないおはなしです。

ベロシティとは、1回のスプリント(イテレーション)で完成できるポイントの総数のことです。プランニングポーカーで、ユーザーストーリーを相対的にポイント見積りし、1スプリントでDoneになったストーリーポイントの合計になります。

多くのチームではそのまま「ベロシティ」と呼んでいますが、「生産性」と読み替えてしまうチームがあります。そして、周りがザワザワしていることがあります。

生産性とは、一定期間における投入コストに対するリターンのことです。一般的なコンテキストでは、リターンは量のことです。少ない時間で多くの量がこなせることを生産性が高いといいます。つまり、少ない時間で多くのコードを書く。少ない期間で、多くの機能を作ることが生産性が高いことを意味します。

アジャイルでは量を追いません。質を追求します。てんこ盛りの機能よりも、選び抜かれた機能を安心安全に使い切れることに価値をおきます。

ベロシティは未来の予想可能性を高めるために使われます。ベロシティはチームのものであり、単体で語られるべきものではありません。「生産性」と呼んでしまうと、それ自体に注目してしまい、周りのステークホルダーが上がると喜び、下がると不安になってしまいます。

ベロシティはそのまま「ベロシティ」が正しいです。

チームによっては、開発量、作業量、仕事量、生産量、チームスピード、完成できる量等、様々な呼び方をしています。

組織の成熟度にもよりますが、生産性と呼んでしまうとチームのふるまいにも影響を与えてしまうので、ベロシティを「生産性」と呼ぶことだけは避けたほうが安全です。